コラム

STEP4-7 AI・BIを活用した“経営コックピット”の設計法

経営力・経営管理力UP

現代の中小企業経営において、最も大きな課題の一つは「経営情報の分散」です。
会計は会計ソフト、販売は別システム、勤怠はエクセル、そして経営者の頭の中——。
バラバラの情報をつなぎ合わせ、正確な意思決定をするのは至難の業です。

この問題を解決するのが 経営コックピット の考え方です。
飛行機の操縦席にある計器盤のように、会社の状況をひと目で把握できる仕組みを作ることで、経営者は安心して操縦(経営判断)を行えるようになります。
そして今、その経営コックピットを支えるのが AIとBI(Business Intelligence) です。

1. 経営コックピットとは?

(1) 経営の計器盤

売上・利益・資金繰り・KPIなど、経営に必要な情報を一画面に集約した「経営ダッシュボード」です。

(2) 経営者の意思決定を支援

「感覚経営」から「データ経営」に進化するための必須インフラです。

(3) 社員を巻き込む情報共有

社長だけでなく幹部・社員が同じ情報を見て議論できるようになります。

2. なぜ今“AI×BI”が必要なのか?

(1) 情報量の爆発

データは増えているのに、活用できていない会社が大半。

(2) スピード経営の必要性

月次決算を待っていては遅すぎる。日次・リアルタイムで意思決定が必要。

(3) 人材不足の補完

AIを活用することで、人手をかけずに分析・予測が可能に。

3. 経営コックピットの基本設計(CFIO流)

(1) 財務指標

  • 売上・粗利・営業利益
  • キャッシュフロー(運転資金・借入返済・投資余力)

(2) 業績指標

  • 部門別損益
  • 顧客別売上・粗利
  • 商品別収益性

(3) 行動指標(KPI)

  • 新規商談件数
  • 受注率
  • 稼働率・生産性

(4) 予測指標(AI活用)

  • 売上予測(季節性・過去データからAI分析)
  • 資金繰り予測(入出金パターンをAIが学習)
  • 顧客離脱予測(購買履歴からAIが警告)

4. BIツールの活用ステップ

ステップ1:データの一元化

会計ソフト・販売管理・勤怠・顧客管理などをBIに統合。

ステップ2:可視化

グラフやダッシュボードで「ひと目でわかる」形にする。

ステップ3:AIによる分析

単なる数値表示から、AIが予測や異常検知を行う段階へ。

ステップ4:経営会議で活用

幹部会議でコックピットを見ながら議論。意思決定のスピードと質が劇的に向上。

5. ケーススタディ:経営コックピットで変革したH社

H社(年商15億円)は、経営者が「数字は税理士に任せきり」で、経営判断が遅れていました。

CFIOが導入した仕組みは以下の通り。

  • 会計ソフトと販売管理をBIツールで連携
  • ダッシュボードで部門別利益と資金繰りをリアルタイム表示
  • AIによる売上予測を組み込み、在庫調整を改善

結果、経営会議の質が向上し、在庫回転率が20%改善。
銀行からも「管理体制が強化された」と評価され、融資条件が有利になりました。

6. 導入の落とし穴と注意点

  • データが不正確 → ゴミデータを入れても正しい分析はできない
  • 管理が複雑すぎる → まずはシンプルに主要KPIから始める
  • 導入して終わり → 会議や意思決定で“使う文化”を根付かせることが重要

まとめ

経営コックピットは、会社を安全に成長軌道に乗せるための 計器盤 です。
AIとBIを組み合わせることで、

  • 過去の把握(財務・業績)
  • 現在の可視化(KPI)
  • 未来の予測(売上・資金繰り)

を一体化し、社長の意思決定を強力に支援します。

CFIOのSTEP4では、経営コックピットを単なる「ITツール」ではなく「経営戦略の中核」として設計し、会社がデータドリブンで成長できる体制を構築します。