コラム

STEP4-6 補助金・助成金を成長資金に変える実務ポイント

経営力・経営管理力UP

中小企業の社長にとって、補助金・助成金は「タダでもらえるお金」ではありません。
正しく理解し、戦略的に活用することで、会社の成長を後押しする “成長資金” に変えることができます。

一方で、制度を誤解したまま申請して「時間だけ取られて成果が出ない」ケースも後を絶ちません。
ここでは、補助金・助成金を 経営戦略とリンクさせて活用するための実務ポイント を解説します。

1. 補助金と助成金の違いを理解する

(1) 補助金

  • 競争申請型(採択率あり)
  • 設備投資・新事業展開など「成長投資」に使える
  • 代表例:事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金

(2) 助成金

  • 要件を満たせば原則受給可能
  • 人材採用・教育・雇用環境改善に使える
  • 代表例:キャリアアップ助成金、雇用調整助成金

補助金=攻めの投資資金
助成金=守りの人材投資資金
この使い分けがポイントです。

2. 補助金・助成金を成長資金に変える3つの視点

(1) 経営計画とリンクさせる

補助金・助成金は「目的があってこそ意味がある」。
設備導入や新規事業の方向性を計画に落とし込み、その実現資金として活用する。

(2) 採択率を高める“事業計画書力”

特に補助金は競争が激しいため、「書き方」で採択率が大きく変わります。

  • 成長性 → 売上・利益の伸びを数字で示す
  • 波及効果 → 地域や雇用への貢献をアピール
  • 実現可能性 → 資金計画・人材体制を具体的に

(3) 受給後のモニタリング

補助金は「採択されて終わり」ではなく、実績報告・検査が義務付けられています。
補助金を得た後の管理体制まで視野に入れることが重要です。

3. 実務での補助金活用の流れ(CFIO流)

  1. 情報収集
    自社に関係する補助金・助成金をリストアップ
    (国・県・市区町村・商工会議所など)
  2. 経営計画との整合性確認
    設備投資や人材戦略とリンクしているかをチェック
  3. 申請書の作成
    強み・弱み分析(SWOT)
    成長シナリオ(売上・利益計画)
    資金計画(借入との併用を明示)
  4. 採択後の実行・管理
    投資効果を数値で検証
    報告書作成と税務処理

4. 銀行戦略との連携

補助金・助成金は、銀行との交渉材料としても有効です。

  • 補助金採択=「成長性のある会社」と評価される
  • 助成金活用=「人材戦略に積極的な会社」と評価される
  • 融資+補助金で自己資金を温存できる

補助金を単なる資金調達ではなく「信用力アップの材料」として使うことが成長戦略です。

5. ケーススタディ:補助金で成長を加速させたG社

G社(年商5億円)は、新規事業で製造ラインを強化したいと考えていました。
CFIOの支援で「ものづくり補助金」を申請し、採択を獲得。

  • 投資額:4,000万円 → 補助金:2,000万円
  • 導入後:生産効率20%向上、売上が1年で15%増加
  • 銀行からも「計画性がある」と評価され、追加融資がスムーズに実行

結果、補助金は単なる資金調達ではなく「成長加速の触媒」となりました。

6. 社長が注意すべき落とし穴

  • 「補助金ありき」で計画を立てると本業とズレる
  • 採択後の実績報告に追われ、現場が混乱
  • 顧問税理士や社労士に任せきりで全体像を把握できない

あくまで「経営計画ありき」「本業強化の手段」として位置づけることが重要です。

まとめ

補助金・助成金は「もらえるお金」ではなく、 未来の成長を実現するための資金 です。

  • 補助金=攻めの投資資金
  • 助成金=守りの人材資金
  • 経営計画とリンクさせてこそ成果が出る

CFIOのSTEP4では、補助金・助成金を「単発の資金調達」ではなく「成長戦略の一部」として位置づけ、経営計画や銀行戦略と統合した形で支援します。