中小企業の社長にとって、補助金・助成金は「タダでもらえるお金」ではありません。
正しく理解し、戦略的に活用することで、会社の成長を後押しする “成長資金” に変えることができます。
一方で、制度を誤解したまま申請して「時間だけ取られて成果が出ない」ケースも後を絶ちません。
ここでは、補助金・助成金を 経営戦略とリンクさせて活用するための実務ポイント を解説します。
1. 補助金と助成金の違いを理解する
(1) 補助金
- 競争申請型(採択率あり)
- 設備投資・新事業展開など「成長投資」に使える
- 代表例:事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金
(2) 助成金
- 要件を満たせば原則受給可能
- 人材採用・教育・雇用環境改善に使える
- 代表例:キャリアアップ助成金、雇用調整助成金
補助金=攻めの投資資金
助成金=守りの人材投資資金
この使い分けがポイントです。
2. 補助金・助成金を成長資金に変える3つの視点
(1) 経営計画とリンクさせる
補助金・助成金は「目的があってこそ意味がある」。
設備導入や新規事業の方向性を計画に落とし込み、その実現資金として活用する。
(2) 採択率を高める“事業計画書力”
特に補助金は競争が激しいため、「書き方」で採択率が大きく変わります。
- 成長性 → 売上・利益の伸びを数字で示す
- 波及効果 → 地域や雇用への貢献をアピール
- 実現可能性 → 資金計画・人材体制を具体的に
(3) 受給後のモニタリング
補助金は「採択されて終わり」ではなく、実績報告・検査が義務付けられています。
補助金を得た後の管理体制まで視野に入れることが重要です。
3. 実務での補助金活用の流れ(CFIO流)
- 情報収集
自社に関係する補助金・助成金をリストアップ
(国・県・市区町村・商工会議所など) - 経営計画との整合性確認
設備投資や人材戦略とリンクしているかをチェック - 申請書の作成
強み・弱み分析(SWOT)
成長シナリオ(売上・利益計画)
資金計画(借入との併用を明示) - 採択後の実行・管理
投資効果を数値で検証
報告書作成と税務処理
4. 銀行戦略との連携
補助金・助成金は、銀行との交渉材料としても有効です。
- 補助金採択=「成長性のある会社」と評価される
- 助成金活用=「人材戦略に積極的な会社」と評価される
- 融資+補助金で自己資金を温存できる
補助金を単なる資金調達ではなく「信用力アップの材料」として使うことが成長戦略です。
5. ケーススタディ:補助金で成長を加速させたG社
G社(年商5億円)は、新規事業で製造ラインを強化したいと考えていました。
CFIOの支援で「ものづくり補助金」を申請し、採択を獲得。
- 投資額:4,000万円 → 補助金:2,000万円
- 導入後:生産効率20%向上、売上が1年で15%増加
- 銀行からも「計画性がある」と評価され、追加融資がスムーズに実行
結果、補助金は単なる資金調達ではなく「成長加速の触媒」となりました。
6. 社長が注意すべき落とし穴
- 「補助金ありき」で計画を立てると本業とズレる
- 採択後の実績報告に追われ、現場が混乱
- 顧問税理士や社労士に任せきりで全体像を把握できない
あくまで「経営計画ありき」「本業強化の手段」として位置づけることが重要です。
まとめ
補助金・助成金は「もらえるお金」ではなく、 未来の成長を実現するための資金 です。
- 補助金=攻めの投資資金
- 助成金=守りの人材資金
- 経営計画とリンクさせてこそ成果が出る
CFIOのSTEP4では、補助金・助成金を「単発の資金調達」ではなく「成長戦略の一部」として位置づけ、経営計画や銀行戦略と統合した形で支援します。
