コラム

STEP4-4 部門別損益管理で会社の強みと弱みを見える化する

経営力・経営管理力UP

多くの中小企業の社長は「会社全体の利益は把握しているが、部門ごとの儲けは分からない」と言います。
しかし、会社は一枚岩ではなく、事業部・商品ライン・店舗・プロジェクトなど複数の「部門」の集合体です。
会社全体の数字だけを見ていては、強い部分と弱い部分が分からず、成長の意思決定を誤ってしまいます。

その解決策が 部門別損益管理 です。

1. 部門別損益管理とは?

部門別損益管理とは、売上や経費を「部門ごと」に区分し、利益を把握する仕組みです。

  • どの部門が会社を支えているのか
  • どの部門が足を引っ張っているのか
  • どの部門に投資すべきか

これを明確にすることで、会社の強みと弱みを「数字で」見える化できます。

2. なぜ中小企業に必要なのか?

(1) 黒字倒産を防ぐ

会社全体では黒字でも、一部門が赤字を垂れ流して資金を食い尽くしているケースは珍しくありません。

(2) 成長戦略を描ける

利益率の高い部門に資源を集中させることで、効率的に成長できます。

(3) 社員の行動を変える

「自分の部門の数字」が見えることで、社員の意識が変わり、改善の動きが出ます。

3. 部門別損益管理の導入ステップ

ステップ1:部門の区分を決める

  • 商品別・サービス別
  • 店舗別・エリア別
  • プロジェクト別
    自社の実態に即した分け方が重要です。

ステップ2:売上の按分ルールを決める

  • 直接売上はそのまま
  • 複数部門にまたがる売上は明確な基準で分割

ステップ3:経費の配賦ルールを決める

  • 直接経費は部門にそのまま計上
  • 共通経費(人件費・家賃など)は合理的な基準で配賦

ステップ4:月次で集計・分析

  • 部門別の損益計算書を作成
  • 黒字部門・赤字部門を色分けして見える化

4. CFIO流・部門別損益の活用法

CFIOでは「単なる集計」で終わらせず、経営の意思決定に直結させます。

  • 撤退判断:赤字部門は「改善 or 撤退」を早期に決定
  • 投資判断:高利益部門には人材・資金を集中
  • 組織育成:部門長が自部門のP/Lを持ち、経営者意識を育てる
  • 銀行交渉:部門別の収益力を示すことで、事業性評価が高まる

5. ケーススタディ:部門別損益で生まれ変わったE社

E社(年商12億円)は、会社全体では黒字でしたが資金繰りに常に苦しんでいました。
CFIOが部門別損益を導入したところ、意外な事実が判明。

  • A部門:粗利率35%、会社の利益を牽引
  • B部門:粗利率5%、赤字を垂れ流し
  • C部門:新規顧客獲得に貢献するが、販管費が過大

結果、社長はB部門を縮小し、A部門に人材を再配置。
C部門は販管費削減の改善計画を実施。

わずか1年で営業利益率が2%改善し、資金繰りが安定しました。

6. 社員を巻き込む「部門別経営」

部門別損益は、単に数字を出すだけでなく「社員の行動変革ツール」として使えます。

  • 部門長が数字を持つことで責任感が芽生える
  • KPIと連動させることで、現場が主体的に改善に動く
  • 「会社全体の利益」ではなく「自分たちの部門の利益」を意識できる

まとめ

部門別損益管理は、会社の強みと弱みを見える化し、成長戦略を描くための必須ツールです。

  • 黒字倒産を防ぐ
  • 投資と撤退を数字で判断できる
  • 社員を経営に巻き込める

CFIOのSTEP4では、部門別損益を単なる管理ではなく「経営の意思決定」と「組織育成」に直結させます。
これにより、社長の勘や経験に頼らず、会社が数字に基づいて成長できる体制が整うのです。