中小企業の多くは「毎年の予算」や「目先の資金繰り」には目を向けますが、
3年・5年先を見据えた 中期的な経営計画 を持つ企業は驚くほど少ないのが現実です。
しかし、会社を安定的に成長させるためには、社長の頭の中にある将来像を 言語化し、数字に落とし込む作業=経営計画づくり が不可欠です。
その一つの実践的手法が「経営計画の日」です。
1. 経営計画をつくる意味
(1) 社長のビジョンを形にする
「売上を伸ばしたい」「社員を増やしたい」だけでは組織は動きません。
数字と行動計画に落とし込むことで、初めて社員や金融機関に伝わります。
(2) 会社の羅針盤となる
経営計画は「将来の姿」を描き、それを実現するための 地図とコンパス の役割を果たします。
(3) 社員を巻き込む
経営計画は社長だけのものではなく、社員全員が共有し、進捗を確認できることで力を発揮します。
2. 経営計画づくりの基本ステップ
ステップ1:現状把握
- 財務分析(PL・BS・CFの確認)
- 部門別損益の明確化
- 強み・弱みの洗い出し
ステップ2:ビジョン策定
- 3年後・5年後にどんな会社でありたいか
- 売上・利益・社員数・組織の形を具体化
ステップ3:数値計画の作成
- 売上目標 → 部門別売上に落とし込む
- 利益目標 → 原価率・販管費を設定
- 資金計画 → 借入・投資・返済を織り込む
ステップ4:行動計画の策定
- 誰が・いつまでに・何をするかを明確化
- KPIに紐づけ、毎月モニタリングする
3. 「経営計画の日」とは?
「経営計画の日」は、経営計画を 1日集中で作り上げる研修型プログラム です。
社長が本業から離れて「経営」そのものに集中する時間
- 専門家のサポートを受けながら、自社の数値を整理
- 経営計画を“その場で”完成させることを目的とする
普段の業務ではなかなか腰を据えて考えられない「中期計画」を、強制的に時間を取り、仕組み化された流れで作るのが特徴です。
4. 経営計画の日の進め方(CFIO流)
- 事前準備
決算書・試算表・顧客データを整理
強み・弱み・課題の棚卸 - 当日(6~8時間の集中セッション)
現状分析(財務・市場・組織)
将来ビジョンの明文化
3年・5年の数値計画を策定
行動計画をKPIに落とし込む - アフターフォロー
四半期ごとに進捗チェック
月次会議や幹部会議で軌道修正
5. 経営計画と銀行・社員への効果
(1) 銀行評価が向上する
経営計画を持つ会社は、銀行から「将来を考えている会社」と高く評価されます。
結果、融資条件が有利になり、成長資金を確保しやすくなります。
(2) 社員のモチベーション向上
自分たちの行動が「どんな未来につながるのか」を理解できるため、行動の目的意識が高まります。
(3) 社長の意思決定が早くなる
計画があることで、日々の意思決定が「計画に沿っているかどうか」で判断できるようになります。
6. ケーススタディ:経営計画の日で変革したD社
D社(年商8億円)は、毎年なんとなく売上は伸びていたものの、利益率が安定せず、資金繰りにも波がありました。
経営計画の日に参加した結果:
- 売上目標を3年間で12億円に設定
- 粗利率改善のため、不採算部門を縮小
- 資金繰り計画を立て、銀行との交渉に活用
結果、計画初年度で営業利益率が2%改善し、銀行からの評価も向上。
社長自身も「漠然とした不安」が「具体的な行動計画」に変わり、意思決定がスピードアップしました。
まとめ
経営計画は「作ること」自体に大きな価値があります。
- 社長の頭の中を整理し、社員と共有できる形にする
- 銀行や外部からの信頼を得やすくなる
- 計画があることで意思決定が速くなる
そして「経営計画の日」は、そのための最も実践的な手段です。
短期的な売上だけでなく、中期的な成長を実現するために、社長が必ず確保すべき時間なのです。
CFIOのSTEP4では、経営計画の日を起点に経営計画を整え、月次会議や幹部会議で実行と修正を繰り返し、計画を“生きた経営ツール”に進化させていきます。
