「円安が進んで不安だ」
「海外にも資産を持った方が良いのでは?」
近年の為替変動や世界経済の不確実性を受けて、中小企業の社長から 海外資産・外貨投資の必要性 に関する相談が増えています。
結論から言えば、海外資産や外貨投資は「必ず必要」というものではありませんが、資産全体のバランスを考えると 一部を取り入れるべき重要な選択肢 です。
1. なぜ海外資産・外貨投資が注目されるのか?
(1) 円安リスクへの備え
日本円だけに資産を置くと、円安で実質的な購買力が下がります。
(2) 日本経済の成長性の低下
人口減少・経済停滞を背景に、海外の成長市場へ投資する動きが加速しています。
(3) 分散投資の効果
株式・債券・不動産に加えて「通貨分散」も取り入れることで、資産全体の安定性が増します。
2. 海外資産・外貨投資の主な方法
(1) 外貨預金・外貨建て債券
- 為替リスクを伴うが、円だけの保有リスクを分散できる
- 短期的な投機ではなく、分散の一部として少額から
(2) 海外株式・投資信託
- 米国株や世界株インデックスは成長余地が大きい
- NISAや法人名義の投資信託で取り入れやすい
(3) 海外不動産
- 東南アジアや米国不動産など、インフレ耐性を持つ資産
- 管理・法制度リスクが高いため、信頼できるパートナーが必要
(4) 海外保険・オフショア投資
- 相続対策や資産保全の一環として活用される
- 情報不足によるトラブルも多く、慎重な検討が不可欠
3. 中小企業経営者が注意すべきリスク
(1) 為替リスク
円高に振れた場合、外貨資産の価値は目減りします。
(2) 流動性リスク
海外不動産や一部の投資商品は売却が難しく、現金化に時間がかかります。
(3) 税務リスク
海外資産は申告義務があり、対応を怠ると追徴課税の対象に。
(4) 情報リスク
現地制度や文化に不慣れだと、詐欺的商品に巻き込まれる可能性もあります。
4. CFIOの視点:海外資産は“補完的ポートフォリオ”
CFIOでは、海外資産を「メイン」ではなく「補完」として位置づけます。
- 日本円資産(現預金・国内不動産・自社株)に偏ったポートフォリオを補正する役割
- 長期の資産形成におけるリスク分散の一環
- 承継・相続の観点から、海外資産の管理・申告体制を明確化
つまり「海外資産に逃げる」のではなく、「海外を取り入れることで全体を強くする」という発想です。
5. ケーススタディ:海外投資を取り入れたZ社
Z社(年商11億円)の社長は、会社・個人ともに日本円資産に偏っていました。
円安が進む中でリスクを感じ、CFIOに相談。
提案したプランは以下の通り。
- 資産管理会社で米国株インデックスファンドを毎月積立
- 個人資産の一部を外貨預金にシフト
- 海外不動産は手を出さず、情報と管理体制が整うまで保留
結果、資産全体のリスク分散が進み、「円安でも安心できる体制」が整いました。
まとめ
海外資産・外貨投資は、中小企業経営者にとって 必須ではないが、有効な補完策 です。
- 円安リスクへの備え
- 日本経済の低成長をカバー
- 分散投資の一環として取り入れる
ただし、為替・流動性・税務・情報といったリスクを十分に理解し、 全体ポートフォリオの補完的役割 として活用することがポイントです。
CFIOのSTEP3では、法人・個人・資産管理会社を一体で見ながら、海外資産を「どれだけ」「どの形で」組み入れるかを提案します。
海外に夢を託すのではなく、全体を強くするための一手として取り入れる――それが成功する社長の海外資産戦略です。
