中小企業の社長にとって、不動産投資は「安定収益」と「節税対策」を兼ね備えた有力な資産形成手段です。
しかし一方で、借入過多や出口戦略の欠如によって本業資金を圧迫し、失敗に終わるケースも少なくありません。
成功するためには、不動産投資の基本を理解したうえで、資産管理会社を活用した法人スキームを組み込むことが重要です。
1. 不動産投資の基本的な魅力
(1) 安定した家賃収入
株式のような価格変動が少なく、安定したキャッシュフローを生みやすい。
(2) レバレッジ効果
金融機関からの借入を活用でき、自己資金以上の資産形成が可能。
(3) インフレヘッジ
物価上昇に強く、資産価値を守る役割を果たす。
(4) 節税効果
減価償却や借入金利息の経費化により、所得税・法人税の圧縮が可能。
2. 不動産投資のリスクと注意点
(1) 空室リスク
入居者がいなければ収益はゼロ。立地と管理体制が重要。
(2) 借入リスク
過剰借入は資金繰りを悪化させる。本業資金を圧迫しては本末転倒。
(3) 修繕リスク
老朽化による修繕費用は必ず発生。長期シミュレーションが不可欠。
(4) 出口戦略の欠如
「いつ・どのように売却するか」を決めないと、含み損を抱え続けることになる。
3. 不動産投資の基本フロー
- 投資目的を明確化(収益重視か、承継重視か)
- 立地・物件選定(利便性・需要の安定性が最優先)
- 資金計画(自己資金と借入のバランス)
- 運営管理(管理会社の選定、修繕計画)
- 出口戦略(売却・承継・持ち続けるか)
4. 法人スキームを活用するメリット
(1) 税務上のメリット
資産管理会社で保有すれば、家族を役員にして所得分散が可能。
また、法人税率を活用して運用益を効率的に蓄積できる。
(2) 承継対策
不動産を個人で持つと相続時の分割が難しいが、資産管理会社の株式として承継すればスムーズ。
(3) 融資面のメリット
法人格があることで金融機関からの評価が高まりやすく、借入条件が有利になる場合もある。
(4) 経費計上の幅
法人での保有なら、役員報酬や車両費など経費にできる範囲が広がる。
5. 実務での法人スキーム例
スキーム①:本業会社 → 資産管理会社 → 不動産
- 本業会社の利益を資産管理会社に移転
- 資産管理会社で不動産を購入
- 家賃収入を法人で蓄積し、次世代に承継
スキーム②:親子承継スキーム
- 子どもを資産管理会社の株主に登用
- 将来の家賃収入を子どもに帰属させ、相続税負担を軽減
6. CFIOの視点:不動産は“攻守のハイブリッド資産”
CFIOでは、不動産を「守りの安定資産」であると同時に「攻めのレバレッジ資産」と位置づけています。
- 守り:安定収益とインフレ耐性
- 攻め:借入活用による資産拡大効果
- 承継:資産管理会社を通じた円滑な資産移転
この3つを同時に実現することで、不動産は経営と人生を支える強力な武器となります。
7. ケーススタディ:資産管理会社を活用した不動産投資
W社(年商9億円)の社長は、個人名義で不動産を複数保有していました。
しかし相続を見据えた際に「子どもへの分割が難しい」と悩んでいました。
CFIOの提案により、資産管理会社を設立し、不動産を法人名義に移転。
その後の運用益は法人に蓄積し、子どもを株主にして承継を計画。
結果、
- 相続リスクを軽減
- 税負担をコントロール
- 銀行評価も改善
と、経営と承継の両面でメリットを享受できました。
まとめ
不動産投資は、社長にとって「安定収益」「節税」「承継」の三拍子を兼ね備えた資産運用手段です。
- 個人での保有は限界がある
- 資産管理会社を活用することで税務・承継メリットが拡大
- 本業会社・資産管理会社・個人の三層でバランスを取ることが重要
CFIOのSTEP3では、不動産投資を単なる資産形成ではなく「経営と家族の未来を支える戦略」として位置づけ、設計から実務までをサポートします。
