コラム

STEP3-6 不動産投資の基礎と法人スキーム活用法

資産運用戦略

中小企業の社長にとって、不動産投資は「安定収益」と「節税対策」を兼ね備えた有力な資産形成手段です。
しかし一方で、借入過多や出口戦略の欠如によって本業資金を圧迫し、失敗に終わるケースも少なくありません。

成功するためには、不動産投資の基本を理解したうえで、資産管理会社を活用した法人スキームを組み込むことが重要です。

1. 不動産投資の基本的な魅力

(1) 安定した家賃収入

株式のような価格変動が少なく、安定したキャッシュフローを生みやすい。

(2) レバレッジ効果

金融機関からの借入を活用でき、自己資金以上の資産形成が可能。

(3) インフレヘッジ

物価上昇に強く、資産価値を守る役割を果たす。

(4) 節税効果

減価償却や借入金利息の経費化により、所得税・法人税の圧縮が可能。

2. 不動産投資のリスクと注意点

(1) 空室リスク

入居者がいなければ収益はゼロ。立地と管理体制が重要。

(2) 借入リスク

過剰借入は資金繰りを悪化させる。本業資金を圧迫しては本末転倒。

(3) 修繕リスク

老朽化による修繕費用は必ず発生。長期シミュレーションが不可欠。

(4) 出口戦略の欠如

「いつ・どのように売却するか」を決めないと、含み損を抱え続けることになる。

3. 不動産投資の基本フロー

  1. 投資目的を明確化(収益重視か、承継重視か)
  2. 立地・物件選定(利便性・需要の安定性が最優先)
  3. 資金計画(自己資金と借入のバランス)
  4. 運営管理(管理会社の選定、修繕計画)
  5. 出口戦略(売却・承継・持ち続けるか)

4. 法人スキームを活用するメリット

(1) 税務上のメリット

資産管理会社で保有すれば、家族を役員にして所得分散が可能。
また、法人税率を活用して運用益を効率的に蓄積できる。

(2) 承継対策

不動産を個人で持つと相続時の分割が難しいが、資産管理会社の株式として承継すればスムーズ。

(3) 融資面のメリット

法人格があることで金融機関からの評価が高まりやすく、借入条件が有利になる場合もある。

(4) 経費計上の幅

法人での保有なら、役員報酬や車両費など経費にできる範囲が広がる。

5. 実務での法人スキーム例

スキーム①:本業会社 → 資産管理会社 → 不動産

  • 本業会社の利益を資産管理会社に移転
  • 資産管理会社で不動産を購入
  • 家賃収入を法人で蓄積し、次世代に承継

スキーム②:親子承継スキーム

  • 子どもを資産管理会社の株主に登用
  • 将来の家賃収入を子どもに帰属させ、相続税負担を軽減

6. CFIOの視点:不動産は“攻守のハイブリッド資産”

CFIOでは、不動産を「守りの安定資産」であると同時に「攻めのレバレッジ資産」と位置づけています。

  • 守り:安定収益とインフレ耐性
  • 攻め:借入活用による資産拡大効果
  • 承継:資産管理会社を通じた円滑な資産移転

この3つを同時に実現することで、不動産は経営と人生を支える強力な武器となります。

7. ケーススタディ:資産管理会社を活用した不動産投資

W社(年商9億円)の社長は、個人名義で不動産を複数保有していました。
しかし相続を見据えた際に「子どもへの分割が難しい」と悩んでいました。

CFIOの提案により、資産管理会社を設立し、不動産を法人名義に移転。
その後の運用益は法人に蓄積し、子どもを株主にして承継を計画。

結果、

  • 相続リスクを軽減
  • 税負担をコントロール
  • 銀行評価も改善

と、経営と承継の両面でメリットを享受できました。

まとめ

不動産投資は、社長にとって「安定収益」「節税」「承継」の三拍子を兼ね備えた資産運用手段です。

  • 個人での保有は限界がある
  • 資産管理会社を活用することで税務・承継メリットが拡大
  • 本業会社・資産管理会社・個人の三層でバランスを取ることが重要

CFIOのSTEP3では、不動産投資を単なる資産形成ではなく「経営と家族の未来を支える戦略」として位置づけ、設計から実務までをサポートします。