中小企業の社長にとって、資産運用は単なる「余剰資金の投資」ではありません。
それは会社と家族の未来を守り、次世代にバトンをつなぐための重要な経営課題です。
しかし現実には「本業で忙しく、投資どころではない」「株や不動産で失敗するのが怖い」といった理由で、運用に踏み出せない社長も多いのです。
そこで重要になるのが、 “攻め”と“守り”の両輪を持った資産運用戦略 です。
1. 社長にとって資産運用が必要な理由
(1) 会社経営は「集中リスク」そのもの
社長の資産の大半は自社株や本業に偏っています。
これは大きなリターンを得られる一方で、業績悪化や外部環境の変化によるリスクも抱えています。
運用を通じて「分散投資」を取り入れることで、このリスクを和らげられます。
(2) 税金とインフレが資産を目減りさせる
現預金をそのままにしておくと、税金やインフレで実質的な価値は減少します。
運用は「守り」であり、資産を減らさないための手段でもあります。
(3) 承継と家族の生活基盤を守る
資産運用で安定した収入源を作っておくことで、社長引退後の生活資金や相続時の納税資金を確保できます。
2. “攻め”と“守り”のバランスが重要
攻めの運用
- 株式投資(国内・海外)
- 成長企業への投資
- 不動産開発や事業投資
高いリターンを狙う一方で、リスクも高くなります。
守りの運用
- 長期積立(インデックスファンド)
- 債券・預金
- 保険・退職金制度
- 不動産の安定収益
安定性を重視し、資産を守ることを目的とします。
社長に必要なのは、攻めと守りを同時に設計することです。
3. 実務的な資産運用フレーム
(1) 個人資産の守りを固める
- 小規模企業共済やiDeCoで退職後の生活基盤を確保
- 長期積立で「社長の年金」を自分で準備
- 生命保険で家族の生活を守る
(2) 法人資産の攻めを設計
- 資産管理会社を活用し、株式・不動産に投資
- 運用益を法人税率でコントロール
- 会社のお金を「死に金」にせず、資産形成に回す
(3) グループ全体のバランスシートを作る
CFIOでは、法人・個人・資産管理会社を合算した「トータル資産表」を作成し、全体のバランスを管理します。
4. CFIOの視点:資産運用は“会社の第2事業”
資産運用は趣味や副業ではなく、会社にとって「第二の事業」と位置づけるべきです。
- 本業で稼ぐ → 攻めの資金源をつくる
- 運用で守る → 家族と会社を支える基盤をつくる
- 承継でつなぐ → 次世代のために資産を残す
この考え方を持つことで、資産運用は経営と直結する戦略になります。
5. ケーススタディ:攻めと守りで安定を得たR社
R社(年商15億円)の社長は、本業一筋で運用をほとんどしていませんでした。
しかしコロナ禍で業績が急落し、「集中リスク」の怖さを痛感。
CFIOの支援により以下を実行しました。
- 個人で小規模企業共済・iDeCoに加入し、守りを固める
- 資産管理会社を設立し、安定収益の不動産投資を開始
- 法人資金の一部を海外インデックスファンドに長期投資
結果、本業依存度が下がり、将来の承継にも備えられる資産ポートフォリオが完成しました。
まとめ
社長にとって資産運用は「攻め」と「守り」の両輪が必要です。
- 攻め:株式、不動産、事業投資でリターンを追求
- 守り:長期積立、保険、退職金制度で安定基盤を確保
- 法人・個人・資産管理会社を一体で設計し、全体最適を目指す
CFIOのSTEP3では、この“攻めと守りの資産運用戦略”を実務に落とし込みます。
資産運用を「余剰資金の遊び」ではなく「会社と人生を守る経営戦略」として実践することが、これからの社長に求められています。
