コラム

STEP2-7 節税と資産形成を両立させる“法人個人一体型プランニング”

税務戦略

中小企業の経営者にとって、「節税」と「資産形成」は常に両立が求められるテーマです。
しかし実務の現場では、節税を優先するあまり手元資金が減ってしまったり、逆に資産形成を重視して税金が重くなったりと、どちらかに偏るケースが少なくありません。

そこで重要になるのが 法人と個人を一体で設計するプランニング です。
法人税・所得税・相続税をトータルで見渡し、最適なバランスを組み立てることで、節税と資産形成を同時に実現できます。

1. 節税と資産形成のトレードオフ

(1) 節税を優先するリスク

  • 保険商品に偏重し、解約時に逆に課税される
  • 経費を使いすぎてキャッシュが枯渇
  • 赤字決算で銀行融資が受けにくくなる

(2) 資産形成を優先するリスク

  • 利益を出しすぎて高額の法人税・所得税を負担
  • 個人名義で資産を持ち、相続税リスクが膨張
  • 税務上の最適化をしないため効率が悪い

このジレンマを解消するのが「法人個人一体型」の発想です。

2. 法人個人一体型プランニングの基本フレーム

(1) 法人の利益を最適化

  • 黒字を確保して銀行評価を高める
  • 過度な節税ではなく、適切な税負担を残す
  • 法人から資産管理会社へ利益を移す仕組みを作る

(2) 個人の所得を分散

  • 役員報酬と配当のバランスを調整
  • 家族役員への報酬で所得分散
  • 退職金制度を導入して長期節税

(3) 資産形成を法人・個人で分担

  • 法人:資産管理会社を通じて不動産・金融資産を保有
  • 個人:小規模企業共済やiDeCoで老後資金を準備
  • 相続を見据え、法人と個人の資産を統合管理

3. 実務での活用例

ケース① 法人→資産管理会社→個人

本業会社の利益を資産管理会社に移し、そこから不動産や株式投資を実施。
将来は資産管理会社の株式を子どもに贈与して、相続税対策も兼ねる。

ケース② 退職金戦略

社長が引退する際に退職金を支給すれば、法人は損金算入でき、個人は退職所得控除で税負担を抑えられる。

ケース③ 配当+家族役員報酬

配当を家族に分散しつつ、資産管理会社から給与を支払う。
結果、トータルでの税率を引き下げ、家族全体の資産形成を加速する。

4. CFIOの視点:節税と資産形成の“一体最適”

CFIOでは、節税と資産形成を分けて考えません。
両者を同時に設計することで、社長と家族の人生全体における最適解を導きます。

  • 短期的な節税テクニックではなく、長期的な資産形成を重視
  • 法人・個人・資産管理会社の三位一体設計
  • 銀行交渉や承継対策まで含めた総合プランニング

5. ケーススタディ:一体型設計で資産を増やしたO社

O社(年商9億円)の社長は、毎年決算直前に保険を使った節税に頼っていました。
しかし、解約返戻金の課税で逆に資産が目減りし、資産形成が進まない状態。

CFIOの関与により、以下を実行しました。

  1. 過度な保険節税を中止
  2. 資産管理会社を設立し、不動産・株式投資を法人で実施
  3. 役員報酬と配当を見直し、個人の税負担を軽減
  4. 将来の退職金を組み込み、長期的な資産形成を設計

結果、税負担を抑えながら、家族全体の資産残高が5年で1.5倍に増加しました。

まとめ

節税と資産形成は二者択一ではありません。
法人と個人を一体で設計することで、両立が可能になります。

  • 法人税・所得税・相続税をトータルで最適化
  • 資産管理会社を軸に、法人・個人の資産を整理
  • 節税を資産形成につなげ、承継まで見据える

CFIOのSTEP2では、この「法人個人一体型プランニング」を通じて、社長と家族の手残りを最大化し、未来の安心を実現します。

税金を減らすことと、資産を増やすこと。
両方を叶えるための鍵は、法人と個人を分けず“一体”で考えることにあります。