「銀行に融資を申し込んだが断られた」
「思ったより借りられなかった」
「条件が厳しく、返済負担が重い」
こうした悩みを抱える中小企業は少なくありません。
実際、銀行の融資姿勢は年々厳しくなっており、融資が通る会社と通らない会社の差はますます大きくなっています。
しかし、融資が通らない理由の多くは「銀行から見て信頼できない財務体質」にあります。
裏を返せば、財務体質を改善し「信頼される会社」になれば、必要な資金を安定的に確保できるのです。
本記事では、融資が通らない会社の共通点と、信頼される財務体質に転換するための実務的な方法を解説します。
1. 融資が通らない会社の共通点
(1) 決算書が銀行目線になっていない
節税を優先して赤字決算にしている会社は、銀行から「返済能力がない」と判断されます。
銀行にとって利益は返済の源泉。赤字では評価が下がります。
(2) キャッシュフローが読めない
売掛金や棚卸資産が膨らんでおり、営業利益が出ているのに現金が増えていない会社は、資金繰りリスクが高いと見られます。
(3) 借入のバランスが悪い
短期借入に依存し、長期借入で安定資金を確保できていない会社は「綱渡り経営」と判断されます。
(4) 事業計画がない
融資を申し込む際に、今後の売上計画や投資計画を説明できない会社は、銀行から信頼を得られません。
2. 銀行が評価する「信頼できる財務体質」とは?
銀行が安心して融資できる会社には、次の特徴があります。
- 黒字決算を維持している
- 自己資本比率が一定以上ある(目安20%以上)
- 営業キャッシュフローが安定してプラス
- 短期借入と長期借入のバランスが適切
- 経営計画が明確で、数字に裏付けがある
つまり、銀行は「返済可能性」と「経営の安定性」を数字で確認したいのです。
3. 信頼される財務体質への転換法
(1) 節税よりも黒字決算を優先する
節税は大切ですが、やりすぎると自己資本比率が低下し、銀行評価が悪化します。
融資を重視するなら、適度に利益を残すことが最優先です。
(2) キャッシュフロー重視の経営に切り替える
損益だけでなく「営業キャッシュフロー」を毎月確認しましょう。
売掛金や在庫を適正化するだけで、キャッシュフローは大きく改善します。
(3) 借入の組み換えを行う
短期借入を長期借入に切り替え、資金繰りを安定化させます。
銀行にとっても「返済スケジュールが明確で無理がない」方が安心材料になります。
(4) 事業計画書を作成する
数字に基づいた1〜5年の経営計画を銀行に提示することで、「未来の返済能力」を示せます。
単なる夢物語ではなく、試算表や資金繰り表と連動させることが重要です。
4. CFIOの視点:銀行と「パートナー関係」を築く
CFIOコンサルタントは、銀行を単なる資金提供者ではなく「経営パートナー」として捉えます。
そのために重要なのは、数字の透明性と一貫性です。
- 決算書を銀行目線で整える
- 月次の資金繰り表を提出して信頼を積み重ねる
- 経営計画を共有し、融資を「未来への投資」として説明する
こうした姿勢を取ることで、銀行は「この会社は安心して支援できる」と判断します。
5. ケーススタディ:融資が通る会社へと変わったE社
E社(年商4億円)は、毎年赤字決算で節税を重視。
銀行からは「返済能力がない」と判断され、新規融資が通らない状態でした。
CFIOが関与し、以下を実行しました。
- 節税を抑えて黒字決算に着地
- 営業キャッシュフローを重視し、売掛金回収を改善
- 短期借入を長期借入に組み換え
- 経営計画書を銀行に提示
結果、1年後には追加融資がスムーズに通り、設備投資資金を確保。
事業拡大とともに財務体質も改善し、銀行からの信用力が飛躍的に高まりました。
まとめ
融資が通らない会社には共通点があります。
- 節税で赤字決算にしている
- キャッシュフローが読めない
- 短期借入に依存している
- 経営計画がない
逆に、信頼される財務体質を作れば、必要な資金を安定的に調達できます。
CFIOのSTEP1では「銀行から信頼される財務体質づくり」を最優先課題としています。
融資が通る会社になることは、単なる資金調達にとどまらず、会社の成長と資産形成の基盤となるのです。
黒字経営を続けながらキャッシュフローを安定化させ、銀行と良好な関係を築く。
それこそが、強い中小企業が歩むべき財務戦略の王道です。
